ちあきなおみ

ちあきなおみ という歌手がいた。
過去形で書いたが故人でもなければ「引退した」と本人が宣言したわけでもない。1992年に夫が死去した後、歌手活動を休止したまま現在に至っている歌手だ。平成生まれの方は知らない方も多いだろう。お笑い芸人コロッケのモノマネでご存知の方もおられるのではないか。あるいは古いテレビCMの「タンスにゴン」というのでご記憶の方もおられるだろう。

私にとっては初期のヒット曲に「四つのお願い」、「喝采」という曲があったことは記憶しているが、多くの人々と同様すでに過去の歌手だった。その ちあきなおみ に再評価の機運が高まり多くのTV番組で取り上げられるようになってきた。2月16日にもテレビ東京系の「たけしの誰でもピカソ」で特集された。

私はこの番組を見て ちあきなおみ が大変な歌手であったことを再認識した。彼女の熱心なファンの方からは「いまさら何を」と言われるだろうが。番組で彼女の歌を聴いているとその歌が描き出す世界へと誘われる。歌手としてのただならぬ力量を感じさせられた。

特に「朝日のあたる家」という楽曲にはブッ飛んだ。この曲はブリティッシュ・ロックのアニマルズの1960年代の名曲だ。その曲を浅川マキ(オフィシャル・ホームページ)が訳詩したものを歌っている。(この浅川マキも ちあきなおみ 以上に伝説の歌手と呼ぶべき存在だが、彼女についても何時かここで取り上げたい。)

♪私が着いたのはニューオリンズの朝日楼という名の女郎屋だった♪

という歌い出しのシャウトで一気にこの歌世界にぶち込まれる。その後淡々とした唱法に変化して物語を語っていく。情景が目に浮かぶ。そして最後に再び出だしの歌詞が歪んだ声でシャウトされる。凄い、ただただ凄い。

この番組を見て後、「朝日のあたる家」を含むCD『ちあきなおみ VIRTUAL CONCERT』を購入し、今そのCDをかけながらこれを書いている。収録されたどの曲も素晴らしい(特に「プラットホーム」、「紅い花」がいい)。これほどの歌手だったのか。

彼女の復帰を古くからのファンとともに望みたい。もし実現したら彼女には様々なジャンルの曲を歌って欲しい。どんなジャンルの曲を歌っても彼女の世界を作ってくれると思う。ロックではイーグルスの「ホテル・カリフォルニア」やレッド・ツェッペリンの「天国への階段」等を聴いてみたい。

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古謝 美佐子

古謝美佐子のコンサートに行ってきた。

彼女のコンサートに行くのはこれで4回目である。夫でキーボード担当の佐原一哉と夫婦漫才のような掛け合いを交えながら進行した。彼女の歌は太くうねるような響きを持つ。地声の強さが印象的だ。

今回のコンサートでは、「南洋数え歌」や「黒い雨」のような戦争にまつわる曲を多く取り入れていた。また語りの中でも戦争や沖縄の基地について取り上げていた。彼女はこれまでこうしたことをコンサートで語ることはなかった。孫を持つ年齢になり、また沖縄の近年の状況に危機感を抱くようになったということのようだ。

また「竹田の子守唄」、「五木の子守唄」といった子守唄のメドレーも心に響いた。「竹田の子守唄」は70年前後のフォークソングの時代には良く歌われていたが、最近は放送されることがなくなっていた。佐原一哉の話によるとこの歌は被差別部落で歌われてきたために、放送局が自主規制するようになったということである。この曲がこんな理由で人々に知られなくなることは、愚かなことであり残念なことである。

終わり近くに名曲「童神(わらびがみ)」が歌われた。古謝美佐子が孫のための子守唄として作曲した曲である。強くやさしい彼女の歌は心と体の中心部を振るわせてくれた。

【関連リンク】
赤い鳥 名曲 竹田の子守唄(曲が聴けます。)

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