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セミの鳴き声

私の住む福岡市では12日からツクツクボウシが鳴き始めた。このセミの声を聞くと夏が終わりに近づいたことを感じる。たとえ気温が35℃あろうとも。

私は小学生時代の数十年前に佐賀から福岡に越してきた。その当時福岡では7月になるとまずニイニイゼミが鳴き始め次いで梅雨明け頃(即ち夏休みが始める頃)にアブラゼミの声が聞こえ始めた。最後にツクツクボウシが立秋を迎える頃から秋の彼岸の頃まで鳴き続ける。

当時は佐賀でのセミの王者であったクマゼミ(佐賀ではその鳴き声から「ワシワシゼミ」と呼んでいたのだが)はまだ福岡には生息していなかったようだ。それが中学生になった頃からクマゼミの鳴き声を聞くようになったのだが、現在は福岡のセミの主役はクマゼミである。

このクマゼミが日本列島を北上し続けているという。温暖化の影響という説が有力であり、またこのセミは都市化に適応しやすいとも言われている。今年は関西圏で大発生したという。

クマゼミの”ワシワシ・・・・”という鳴き声を「うるさい」という人が多い。私にはそれが理解できない。私はクマゼミに限らず全てのセミの鳴き声を偏愛する。様々なセミが大音量で鳴く空間の中にいると私という存在が融解しセミの鳴き声と同化する。ほとんど”瞑想”と呼ぶべき精神状態に入ることができる。セミの鳴かない夏など考えることもできない。だから鳴き始めが遅い夏など、「もしかすると今年はセミが鳴かないのではないのか」と危惧するようになる。「Silent Summer」という不吉な言葉が頭をよぎる。その後「ワシワシ・・・・」の声を聞くとホッとするのだ。

西行の「願わくは花の下にて春死なん そのきさらぎの望月の頃」の和歌になぞらえるならば、私は夏のセミの大合唱の中で死にたいと思う。その時私は無数のセミの鳴き声として生まれ変わるとができるように思うのだ。


セミの鳴き声はこちらで聞くことができます。
日本のセミの鳴き声

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ヨウスコウカワイルカ

今月に入って荒川水系で目撃されてきたカマイルカが死んで発見されたという。以下読売新聞から転載する。


東京・荒川のカマイルカ、新河岸川に死んで浮かぶ

東京都北区の新河岸(しんかし)川の水面にイルカが浮いているのが13日朝、見つかった。
 発見者からの通報を受けた都建設局の巡視船が同日午前10時10分、同川の下流で合流する隅田川で確認し、職員が清掃船に引き揚げたが、既に死んでいた。都内の荒川などでは今月に入りカマイルカがたびたび目撃されており、都では死んだイルカと同一とみている。体長約2メートルで、全身に泥がついていた。
 京急油壺マリンパークのイルカ担当飼育員は「海水から河川に環境が変わることで、ストレスから体力が落ち、感染症にかかるリスクが増える。えさも変わり、生存が難しくなる可能性はある」と話している。 (2007年8月13日13時45分 読売新聞)


本来海水中で生活するカマイルカは、全く環境が異なる淡水中では生きていくことが困難なのだろう。一方、地球上には淡水で生活するイルカも存在する。その一つ、ヨウスコウカワイルカが絶滅したという記事を数日前に見つけた。産経新聞から転載する。


「長江の女神」ヨウスコウカワイルカ絶滅、人為は有史以来初

【ロンドン=木村正人】「長江の女神」ともいわれる希少種の中国・長江(揚子江)の淡水イルカ「ヨウスコウカワイルカ」について、日・中・米・英の研究者による調査チームがこのほど、英王立協会の生物学専門誌で「おそらく絶滅した」との見解を発表した。これまでも三峡ダム建設などによる環境破壊が指摘されてきたが、クジラやイルカの種が人間の営みが原因で絶滅したのは有史以来初めてという。
 調査チームは昨年11月から12月の6週間、同イルカが生息しているとみられる長江の水域延べ3500キロメートルを調査したが、生存を確認できなかった。メンバーの1人でロンドン動物学協会の生物学者、サミュエル・タービー氏は「ヨウスコウカワイルカは絶命した。こんなに希少でカリスマ性のある種を失うのは大変な悲劇だ」と語り、地球の環境保護の大切さを強調した。
 同氏によると、前回の調査は1997~99年に行われ、13頭の生存が確認された。同イルカの捕獲例は02年が最後で、乱獲や環境汚染、保護活動の不十分さから絶滅が危惧(きぐ)されていた。 (2007/08/10 10:23)


「長江の女神」という名前は、長江で亡くなった女性の生まれ変わりという伝説にもとづくという。(「朝鮮日報」記事参照)

また、ヨウスコウカワイルカは『西遊記』の沙悟浄のモデルという説もある。(岩波文庫版『西遊記』の翻訳者・中野美代子氏はヨウスコウワニ説)

ヨウスコウカワイルカは1950年代には数千頭生存したと見られるが、減少が続き、中国政府によって1979年に絶滅危惧種に指定されている。しかしその後も生息頭数は減少し続け、1990年には20頭が確認されたのみであった。

しかし中国政府は有効な保護策をとるどころか、最後の引導を渡す愚行をしでかす。1994年に本工事が開始された三峡ダムの建設である。この巨大ダムは流域環境に破壊的な影響を与えることが指摘され、ヨウスコウカワイルカの絶滅が懸念されたが、そのとおりの結果となってしまった。こうして地球上の仲間であった動物がまた一つ失われてしまった。日本でも人間活動によって「トキ」という種(学名「ニッポニア・ニッポン」)を絶滅させてしまった経験を持つ。(皮肉なことに中国産トキによる復活プロジェクトが進められているのだが。)もうこれ以上野生生物を犠牲にして経済発展を図ることは許されない。

ヨウスコウカワイルカの画像(在りし日のかわいい姿を偲ばれたい。)


【関連リンク】
ヨウスコウカワイルカ(Wikipedia)

沙悟浄(Wikipedia)

三峡ダム(Wikipedia)

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