恐竜と鳥
恐竜とは何者か?
恐竜に対するイメージがこの30年ほどで大きく変わってきた。かつては恐竜というと「巨大なトカゲ」というイメージで捉えられてきた。しかしその後「恐竜=恒温動物説」が登場しかつて考えられてきた大トカゲイメージは大きく揺らいでくる。恐竜はトカゲというよりむしろ哺乳類のように俊敏な動物ではなかったか、というものである。
1990年代に入ると恐竜と鳥との近縁性が注目されるようになる。中国で羽毛のある恐竜が相次いで発見され、「鳥は恐竜の子孫」という説が通説に近い扱いとなってくる。
かつて恐竜の復元図といえば体表は鱗に覆われいかにもトカゲ風であったが、最近では多くの恐竜が羽毛で覆われた姿で描かれるようになっている。恐竜の代表として一般の人がイメージするティラノサウルスですらその祖先の化石に羽毛が存在したことから、ティラノサウルス・レックスでも少なくとも幼獣のときは羽毛が存在したと考えられるようになってきた。
では「鳥は恐竜の子孫」という説は正しいのか?ことはそう簡単ではないようだ。「ダイノバード仮説」というものがある。ジョージ・オルシェフスキーのとなえる説である。三畳紀に樹上性の爬虫類が存在し、その後飛行するように進化したものが鳥となり、地上に進出したものが恐竜になったというものである。オルシェフスキーは樹上性の共通祖先を「ダイノバード」と呼んでいる。このダイノバードは恐竜よりもむしろ鳥に近いものという考え方から通説とは逆に「恐竜よりも鳥が先に存在した」と主張した。
「恐竜の子孫は鳥」か、それとも「鳥の子孫が恐竜」か?爬虫類から恐竜が進化していく過程で鳥が分岐したと考えれば前者だろうし、逆に爬虫類から鳥が進化していく過程で恐竜が分岐したと考えれば後者ということになるだろう。この問題は、以前に私がこのブログで述べた「ヒトはチンパンジーから進化した」のか、逆に「チンパンジーがヒトから進化した」のか、という設問と類比的だ。
いずれにしろ、恐竜と鳥が近縁なグループであることは間違いないだろう。前回のブログで取り上げた伊藤若冲の描いた鶴の絵などを見ているとほとんど恐竜そのものではないか、と思えてくる。
最後に最近の記事を転載する。この短い記事だけからでは、「恐竜の子孫は鳥」か、それとも「鳥の子孫が恐竜」か、という設問に解答を与えることになるかどうかは判然としない。今後の研究の進展を注目しよう。
空を飛ぶまで1億年以上=鳥類の身体効率化、祖先の恐竜から-米英チーム (時事通信2007/3/8)
鳥類が空を飛ぶのに必要な効率良い身体構造は、2億3000万~2億5000万年前の祖先の獣脚類恐竜の段階で、全遺伝情報(ゲノム)の縮小という形で準備が始まっていたことが分かった。米ハーバード大と英レディング大の研究チームが、絶滅した恐竜と鳥類、現在の動物のゲノムを分析した成果を、8日付の英科学誌ネイチャーに発表した。
ゲノムが小さければ、細胞も小さい。特に血液に酸素を取り込む赤血球は、体積が小さいほど相対的に表面積が大きくなり、運動中の呼吸が容易となる。グライダーのように滑空するだけでなく、羽ばたいて飛ぶ現代型鳥類は約1億1000万年前に出現しており、空を飛ぶには長い「助走期間」が必要だったと言えそうだ。
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